2021.01.12
© 吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
今までの少年漫画のいいとこ取りしたら
メガヒットしたんかな、位の気でいたら
全然違った。

これは確実に漫画が一歩進化した瞬間だ。

どこが進化?かというとそれは
「テーマの取り方」だと思う。

「人間、一人でできることは少ない。
 だからこそ協力し、
 少しでも次につないでいこう」

というのが本作のテーマだが
これは意外と少年漫画では前景化することが
なかったテーマ。

(超越的な個人が成長・大活躍して
 何もかもを解決するというのが
 少年漫画の基本構造だけど、
 この黄昏の時代にそこまで単純な話は
 ちょっとしんどいってのもある)

一段深いテーマに着手した、この点が
漫画の進化だと僕は思った。

乗っかるわけじゃないけど
僕が会社をやる理由もこれと同じだ。
(会社の経営理念も
 多くの人が共感できるものでなくてはならず、
 それはそのテーマが持つ「ヒューマニズム」の
 深さに比例して大きくなるものだ)

だから一人の天才クリエイターが
作品内のすべての問題を解決したって逸話は
あんまり好きじゃない。
(だいたいフィクションだからね・・・)

また、このテーマに反する
「俺だけがすごいんだ」をやりすぎた「人間」は
「鬼」になってしまうという構造も、
ラッキーミリオネアみたいな人が
碌なことしてないって情報開示が進んだ今、
改めて言われると刺さり方が違う。

現実でも、
このテーマを漫画だけでなく
Ufotableのアニメが
(その圧倒的な画面構成とかで)
後押ししたっていうのも
相乗効果って意味で、
テーマと符合してる。
(でなきゃこの規模の現象にはならなかった)

個人も会社も、個人が全てを解決する時代は終わり、
少しずつ、大きな流れの中に何を積み上げられるか?
が問われる時代になってきたということだろう。

我々もそれを考えながら、
漫画を読み、ゲームを作らねばならない。(友野)